狂気的な恋愛(マニア)〜赤い椿〜


僕は君と屋上で過ごすこの時間が好きだ。

僕はドアの開く音と共に腰にあったものを抜いた。

キィン

高い金属音。
「ワォ」
君が受け止めた事がどんなに嬉しいか。

『いきなりなんて卑怯…っ!』

ギリギリとトンファーとナイフが睨み合う。
君の真っ直ぐな瞳。

彼女の意思が全て僕に向いている事に愉悦を感じて口を歪め、ナイフを力を込めて弾いた。
君はそれを予測していたのか、その反動を上手く使って後方にジャンプして間合いを取る。

でも僕にはそんなの関係ないね、一気に間合いを詰める。

幾度も奏でられる高らかな金属音、
飛び散る火花、
乱れた呼吸、
上気した頬、

それら全てが僕を狂わせる。

麻薬よりも悪質なこれ。
毎回逢瀬を繰り返す度にもっとを求める果てしない欲望。

毎回逢う度君は更に強くなってゆく際限のない独占欲。

右に投げてきたナイフをトンファーで払い落とし、もう片方のトンファーを突き出す。
それは頬を切り、そこから紅い華を裂かせる。

君の血。
トンファーが浴びた血を舌で味わう。
君の味。

その間にもナイフは飛び交い、トンファーと美しい輪廻を奏でる。

右へ、左へ、頭へ、足へ、
この高まりは誰にも止められない。

…?


さっきから何かが変だ。

!!?

君は僕の頭上の攻撃に体勢を変えたのかと思いきや、君のオーラがなくなっているのを不可思議に思った。

下を、見ると、倒れ込んだ、君がー……、

…僕は彼女を不本意ながらも抱えて応接室に連れて行った。
君の荒い呼吸は今や僕が齎したものではない、
君を何か、に奪われた事に苛々する。

彼女は小さく呻いた。
ごめん。

彼女は一ヶ月おきに1時的に弱くなる、原理は言わなくても分かってる、赤い椿が咲いているからだ。

この男女という間の決定的な違い。
僕はそれに歯痒くなる。

もしも君がー…
いや、考えるだけ無駄だ。

ただ君の回復を願おう。

だって面白くないじゃないか、動けない動物を狩るなんて。
たやす過ぎる。
僕には君じゃなくちゃ嫌なんだ…、

だって赤ん坊は経血でしか育たない。
だから僕はー…、

頬の血を拭い、口に運んだ。

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