雨に歌えば
仕事が終わって腕時計をみると結構遅くになってしまった。
しかも電車に乗ったらしばらくしてから雨が降ってきた。
『嗚呼、傘もってないのに…』
そう悪態もつきたくなる。
「…並盛〜並盛でございます。お降りの方は…」
『やっべ!』
窓を見ている間に並盛に着いたらしく慌て降りる。
…さてどうしよう。
勢いで降りたものの、かなり降っている。
『走り抜けるか…!』
そう思って鞄を傘代わりに頭に乗せた瞬間、腰を引き寄せられた。
『きゃっ…!!』
「馬鹿じゃないの。そんなのじゃあ雨は防げないよ」
と、顔を見るとそこには恭弥くんが…!
『ど、どうし「愚問だね。」
彼は漆黒の傘をばっと広げる。
「君が今日寝坊してろくに朝天気予報も見ずに出社したのくらい知ってるさ。」
同居しているんだから、と彼は傘をくるっと回転させて後ろを向いた。
「…そんなに濡れて帰りたいのかい?」
『Σいっ、いえっ!是非とも入らせて貰いますっ!』
慌てて彼の元に走るとかれはくすくすっと笑った。
そしてそっぽを向いて腰を再び引き寄せられる。
濡れて帰られると後片付けが大変なのは僕なんだからね、と。
そんな彼の仕草に素直じゃないなぁ、と思いながらも緩む頬を押さえられずに彼の傘を持つ手に自分のを絡ませた。
そして私は再び恋に落ちる。
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