応接室で二人っきりのいつもの放課後。
『こっちの整備終わったから、帰る?』
可愛く首を傾げる君。
「ねぇ…、渡したいものがあるんだ」
僕は出来るだけ息を整えてゆっくり言う。
「受け取ってくれるかな、
もし駄目ならバイクでの送り迎えもなくなる、
縁を切る」
震える手で丁寧に包装されたモノを取り出す。
「…受け取ってくれるよね?」
不安で思わず言った台詞。
嗚呼、なんて間抜けな男なんだろう…。
彼女はびっくりしたように小箱を凝視する。
君はどうするの?
別れるなんてないよね?
僕たちは二人で一つなんだよ、
僕は君なしでは生きれない、
お願いだから、
時よ、
止まれ。
『…バカ。』
小包がバッと取られた。
僕はただ唖然としていて、彼女がラッピングを破る音をただただ遠くで聞いていた。
そして鳴咽が聞こえてくる。
『…っ、バレンタインはらしきそぶりも見せないしっ、クラスの女子は恭弥のチョコで盛り上がってるしっ、てっきり無視されていると思っていたら突然今日になんて卑怯だよっ、しかもティファニーじゃない、私お返し出来る額じゃないじゃないかバカぁ!』
仕舞いには紙袋を顔に投げられた。
彼女は涙を拭いながら、ぐちゃぐちゃになる書類も気にせず机の上に乗って雲雀を勢いよく強く抱きしめた。
『バカッ、バカッ!
一ヶ月遅いよ、
卑怯だよ…ぐすっ』
僕も彼女を抱きしめた。
『しかもいつお返ししたらいいんだよっ、うぅぅ…』
彼女と抱き合うなんてどれくらいぶりだろう。
「…僕だって不安で…っ!
君が好きだ、大好きなんだ!
だから…」
彼女が持っていたティファニーの箱を奪い取り、指輪を取り出した。
彼女の指にそれをそっと嵌める。
それはとても綺麗で、
「…これからも一緒だよね?」
『うんっ!』
僕たちの未来みたいだった。
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