リストカットシンデレラ


朝、朧げな意識の中、今日は何時も通りに登校した。

あ、玄関に黒服の人達…風紀委員がいる。
どうしよう、身体検査をされたらばれてしまうな、と他人事のように思っている自分がいた。
昨晩左腕を切りすぎてしまったから何時ものように紙で切ったと言い訳も出来ないし…

どうしても校門前で足は止まってしまっていた。

…すると、わっ、突然肩を強く叩かれた。
思わず尻餅をつく、痛い。

わっ、きったねぇ奴に触れちまったぁ〜

何こいつ、入らねぇの?

エロ本持ってきちまって入れないってか?

動けない私の鞄に数冊か雑誌を捩込まれるのが遠くに感じられた。

去っていく男達。

…ここで泣いちゃ駄目だ。

私の意地が私を立たせた。

バッグに入れられた卑猥な雑誌を取り出して、その場に置く。
気がついたらもう門まで来ていた。

「バッグとポケットを」
言われた通りバッグを差し出しポケットを裏返す。
間を置いてもういいぞ、とバッグを返され、ポケットを元に戻す。

「腕をめくって」

…頭にズキンときた。
手が震える、駄目だ、平静にしなくちゃ。

覚束ない手を手首に伸ばす。
視界がぐらつく。

シャツの間からは紅い切り刻まれた傷がーーーー…

私は気がつけば応接室という部屋に投げ入れられた。

…ここ、どこだろ。

ー……キミ、

前にいるのは誰?

机に座っていたそれは立ち上がり近いてくる、目の前が暗くなる。

背筋が凍った。

「どうしたの」


温かい手が私の手首に触れていた。
そこには無数の無惨な傷。

一筋の涙が伝った。

「君、名前は?」

鳴咽が止まらない、その人はそんな私を包んでくれた、紺色のセーターが柔らかく、温かい。

「もう大丈夫だよ」

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